技術系職場におけるトップダウンとボトムアップ
お久しぶりです。
長らくブログを書いておりませんでしたが、気ままにやっておりますので引き続きよろしくお願いします。
今回は技術系職場におけるトップダウンとボトムアップの違いについて。
※会社経営や組織全体における話ではなく、職場または部署単位での内容となります。
私は2回の転職でトップダウンとボトムアップ、色が大きく異なる職場を経験しました。
そんな相異なる職場に身をおいて感じたメリットやデメリット、気づきなどをお伝えします。
今後の会社選びや、環境が変わってトップダウンとボトムアップの違いに戸惑いを感じている方の参考になれば幸いです。
(1)職場風土の分類および定義
ボトムアップとボトムアップの意味については以下の通り定義します。すでにご存知かと思いますので読み飛ばしていただいてもOKです。
図1はイメージを示しています。
トップダウンとは
上位者の意思決定に基づいて下位が動く方式を言います。
上位者の決定に基づいて、中間者がかみ砕いて具体的指針を出し、それを下位者が忠実に行動するイメージです。
ボトムアップとは
下位者からの提案や報告を上位へ吸い上げ、その内容に基づいて上位が判断をした上で動いていくスタイルを言います。
基本的には下位者が具体的指針まで検討して提案し、中間者がその内容を整理して上位者に報告し、上位者がその是非を判断する形です。問題なければ提案を踏襲した形で実行していくことになります。
ハイブリットというスタイル
これは私の造語ですが、トップダウンとボトムアップを両立した方式を言います。
会社や組織全体の仕組みを変えるような取り組みはトップダウンで動かし、その中で現場やプレーヤーからの意見も取り入れながら進めたり、あるいは案件の規模や内容に応じて使い分ける方法を指します。
(2)実際に働く上でのメリット・デメリット
【トップダウン】
〇メリット
・スピード感がある
上からの指示はやはり権限が強いため意思決定が速く、物事がスムーズに進みます。意思決定のところでプレーヤー側が困ることは少ないでしょう。
・上位者のマネジメントスキルを体感できる
上位者や管理職の指示スタイルや意思決定の方法を強く体感できます。指示が適確であれば、自身が上位側に立ったときには大いに役立つでしょうし、成果につながれば貴重な経験となります。工場運営や事業マネジメントを目指す人にとっては、そのマネジメントスキルは参考となるはずです。
×デメリット
・自分の意見や考えを仕事に反映させにくい
上からの指示は絶対です。指示内容が非合理的であったり理不尽なものであっても基本的に意見や反論はしにくい雰囲気です。そうなるとプレーヤーのうちは自分の考えを反映できずにもどかしい気持ちになるかもしれません。それでも上位が責任をとってくれる健全な組織であればいいのですが、“実行した人間が悪い”という風潮がある組織があるのは事実で、そういった環境ではストレスが大きく、モチベーション維持が難しいです。
・パワハラの可能性
指示を遂行させるために細かいことを指摘したり声を荒げて厳しい言い方や高圧的態度をとる上位者がたまにいます。筆者も「やれと言ったらやれ!」「こんなこともできねえのか!」と言われたものです。トップダウン環境ではそれが当たり前という雰囲気もあり、緊張感は大きいかもしれません。
【ボトムアップ】
〇メリット
・自分の意見や考えを仕事に反映させやすい
プレーヤーのうちからでも自分の意見や考えを反映させられるため、やりがいを感じることができるでしょう。もちろん、すべてを受け入れてもらえるわけでもありませんが、提案が採用されて成果が出たときの喜びもひとしおです。将来の転職の際に実績アピールとして有効ですし、仕事に意欲を持って取り組みやすくなります。
・現場の実態を考慮した意思決定になりやすい
現場からの声を吸い上げる形ですので、現場の実態に沿う進め方と言えます。上位都合の一方的な指示ではないので、プレーヤーならではのアイデアが出やすくなります。
×デメリット
・スピードに欠ける
下位→上位→下位というルートになるので意思決定に時間がかかります。また、下位からいろんな意見が出されるため、まとめきれずに収束できないなんてこともあります。方向性が見い出せない事態となりますので注意が必要です。
・中間管理職が仕事に無関心・無責任になりがち
ある程度、部下内で結論が出ていたり完結していたりもするので、管理職がラクになりがちです。そしていわゆる無能管理職が発生します。あまり考えることもなく下からの提案を容認するだけの状態となり、次第に部下の仕事に無関心になることもあります。度が過ぎると、なにか問題が発生しても「部下が決めたことだから俺は知らない」と無責任な態度をとる管理職もいたので、ボトムアップの弊害と言えるでしょう。
・人間関係がこじれる
ボトムアップ環境下では下位同士で議論して提案することが多いですが、いろんな意見が出ますので、意に反する発言や食い違いがあると口論に発展する場合があります。後にも遺恨や確執として残り、雰囲気が悪くなることがあります(前職がまさにそうでした)。
【ハイブリッド】
〇メリット
・仕事はしやすい
これはトップダウンとボトムアップのバランスを取った方式ですので、上位の意思決定により滞りなく仕事は進み、一方で下からの意見も取り入れるのでプレーヤー側も大きなストレスを感じることなく、でも適度な緊張感を持って取り組めると思います。
〇デメリット
・中間管理職はストレスが大きい
中間の立場となると、上からも下からも意見が出るので、それらを汲み取る難しさはあります。
また役割として、「下からの意見をまとめて上に伝える」のと「上からの指示を具体化して下に従わせる」というタスクが発生するため、負担が大きいです。
現職ではハイブリットスタイルに近いのですが、板挟み状態が強くなりますので、病むくらい精神的にダメージを受けた管理職はいます。
(3)適性について
トップダウン職場に向いている人
ⅰ)考えるよりまず行動する人
満点にはこだわらずにすぐ動き出せる人は適応できるでしょう。トップダウンではスピード感を求められることが多く、完成度が高くなくても、ある程度の形を残せるような人は好まれます。
ⅱ)リーダーシップがある人
将来は部下を率いて組織を動かしたい人はトップダウン組織で活躍できるでしょう。
最初の数年は我慢が必要ですが、いずれ後輩ができると指導しながら仕事を進め、そしてチーム→グループ→部署単位と仕事を動かす規模と機会が増えていきます。リーダーシップを発揮できる場が次第に増えるので、それに比例してやりがいも増していくことでしょう。
ボトムアップに向いている人
ⅰ)自分で考えてから行動できる人
自分の考えをしっかり持ち、それに基づき行動できる人はボトムアップ式がいいでしょう。自ら課題を発掘し、計画や手段も検討できる人はやりやすいでしょう。
ⅱ)若いうちに転職を検討している人
若いうちから自分で仕事を生み出したり、手を挙げて提案した仕事が成果につながる経験はボトムアップでしかできません。そして、それは実績として誇れるものとなります。そのような実績を持つ方は転職市場では魅力的に映ることでしょう。また、市場価値を意識することでさらに仕事に前向きに取り組めるといった相乗効果も期待できます。
筆者もそういった環境で仕事に取り組んだことで、様々な経験を積むことができましたし、話や提案を聞いてくれた当時の上司には感謝しています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
トップダウンとボトムアップそれぞれの特徴を享受してから転職等でステップアップするのも良し、自身の適性や性格に合うならその環境でバリバリ活躍するのも良し。
特徴を理解した上で今後の皆さんのキャリア形成や職場での振る舞いの参考になれば幸いです。
以下、表にてまとめを記載します。
おわり